私が一番最初に勤めた進学塾に同じ年の女性に今井さんという女性がいた。当時まだ20代、おたがい若かった。
今井さんは小学校の先生になりたくて学芸大を卒業しましたが、学生時代に歴史「古事記」に興味を持ち、学習院の大学院で「古事記」を勉強。
本当は 学者になりたかったのかどうか? そこらへんは聞いていませんが
彼女は私に言いました。
『私は「古事記」を大学院で2年間研究したけど、塾では「古事記」の説明なんて、たった1分で終わるんだよ。』
彼女はそれを不満という表現ではなくジョーク? 生きることの不思議さ面白さみたいなものとして表現してくれました。
そんな彼女がある時、小6算数(中学入試)の授業を代行することになりました。算数の先生が休み、その先生の埋め合わせみたいな感じで授業をしたのです。予習する時間も少なくほとんど即興で授業。難問を上手く説明できなく戸惑っていると、生徒はワイワイ騒ぎ始めました。
生徒は意外と冷酷です。
上手く説明できない先生を詰(なじ)ります。
今井先生は、生徒に「今度の授業でばっちりやるから、今日はごめん」と謝罪。
彼女はそのあと中学入試の算数を猛勉強し、算数を教えられる先生になりました。
「算数って、結構面白いね。初めて知ったよ」と今井さん。ものすごく印象に残る言葉です。
(塾の教師になって初めて教科の面白さを知ることは多いです)
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実は、今井先生を思い出したのは、飯山満にある王子神社に出会ってからです。
王子神社の神様は、「タケミナカタ」(建御名方)だということを知りました。
タケミナカタという神様は『古事記』の中に出てきます。
天照大御神(アマテラスオオミカミ)は中学生でも知っていると思います。
神様の国にいる天照大御神は地上の日本の国を治めようとしますがなかなかうまくいきません。
出雲(いずも)の国(今の島根県)に強くて立派な神様「オオクニヌシノミコト」(大国主の神、大国主命)がいて、日本をきちんと治めていました。
「でも、この国は私たちの一族が治めるべき」と考える天照大神は何度も大国主の神のところに部下を派遣し国を譲るように説得しますが失敗ばかり。最後に、最強の「タケミカヅチ」(建御雷)の神を送ります。
争いが嫌いなオオクニヌシノミコト(大国主命)は「国を譲ってもいいけど、次男坊のタケミナカタが承知しません。力で追い返すと言っています」
ここで、タケミナカタVSタケミカヅチのバトルが始まります。
結果は、タケミカヅチの圧勝。
タケミナカタは長野県の諏訪まで逃げて行きました。
「もう逆らいません。ここから出ません。国は、天照大神に譲ります」
これが、国譲り神話と諏訪大社の始まりですが、これはあくまでも古事記での話。諏訪大社、不明な部分もあり謎の多い神社です。
実は、
飯山満の王子神社は、諏訪大社と同じ祭神(タケミナカタ)です。